長野県の塩尻市と松本市で全く建築になじみのない方々を対象に、建築を教えています。
教室の大きなコンセプトは、趣味でできる建築です。
教室の名前は、誰でもできる建築教室。
建築や設計を知って学んで楽しんでもらうことを目的にした教室で、プロ育成などは念頭においていない教室。
一度だけ建築学科志望の高校生が、入学前に建築のことを少しでも知りたいという目的で在籍されたこともありました。
建築って趣味でできるの?
ほとんどの読者さんはそう思われるでしょう。
実際、教室の申し込みをしてきた生徒さんの全員がそうした気持ちでした。
確かに実務として建築をするのであれば、学校や職場で学ぶ必要があります。
しかし、趣味として楽しむことは誰でもできます。
建築は専門性が高い分野でもあり、学校法人や仕事を通してしか学べる機会がないのが実情。
そこで、もっと気軽に建築を体験できる教室を主宰しています。
私は東京と長野県で活動しており、建築設計事務所を運営しています。
学校ではなく仕事で建築を学んだ独学の建築家。
長野県で空き家再生や地域デザインのこともしています。
オフィス機能は両方に用意していますが、住いは長野県。
活動圏内である、塩尻市と松本市で”誰でもできる建築教室”を月2回定期開催しています。
それら建築などに関係する情報を、ブログで記事にしています。
この記事は二通りの読者さんを想定してまとめてます。
・趣味で建築設計を楽しみたい読者さん
実際にどんなことをするか、全く建築設計をしたことが無い人がどんなことまで出来るのかなどを紹介。
・建築家として仕事をつくりたい読者さん
私もそうですが、建築家は仕事の多くの時間を建築設計に費やしています。
しかしその仕事は依頼があって始ることばかり。
この建築教室の記事をもとに、仕事をつくる例を知ることができます。
誰でもできる建築教室
先ずは教室でどんなことをしているか。
課題は生徒さんの自由。
それに即して計画・デザイン・設計していく過程で建築家の例、歴史、構造、法規、デザインメソッド、納まり、DIY方法などを教えています。
一例ですが、生徒さんが取り組んできた課題。
・ブックカフェの設計
・ 住んでいる家のリノベーション案
・ 子供部屋を追加するための設計・DIY
・ 部材加工の見積もりを取りながら、家具のデザインと設計
・ 開業予定の飲食店内装のデザイン・設計・DIY
・ 建築が好きなので、建築全般の勉強
・ 将来立てる予定の住宅・小屋の設計
・ 構造の勉強
・ 実家の水廻りリノベーションとDIY
・ 外部テラスの計画と設計とDIY
・空き家を改修するときの勉強
・パーゴラの計画と設計
・実家離れの改修設計
などなど。
全ての生徒さんが建築設計と工事の未経験者です。
建築設計は計画を目にみえるカタチにする必要があります。
計画案・スケッチ・図面・模型・数量表などです。
生徒さんには自分の課題のなかで手を動かしてもらい、少しづつ表現ができるよう教えています。
教室外でも気軽にできるよう、PCは多用していません。
PCに依存すると、スペック強度やCADソフトの有無に左右されてしまうからです。
基本的な製図や模型作成道具などに興味がある方やイメージがつかない読者さんは、別ページにまとめたのでご参考に。
今まで在籍してきた生徒さんは、高校生からご年配の方まで様々。
5年以上在籍され趣味として建築を満喫している生徒さんもいます。
キャットウォーク、子供部屋の増設、家具、外部テラス。
その生徒さんは、設計とデザインをしてDIYで実現しました。
自分で設計やデザインをすると、やはり造ってもみたくなるのですね。
DIYもしたい生徒さんには、それが出来るように設計やデザインをアドバイスしています。
工事に関しても多少は私もできるので、工具や道具の扱い含めて手助けすることもあります。
校外授業として、家具工房とのコラボワークショップや友人大工の改修ワークショップなどのイベントも教室の内容に織り交ぜています。
個別の内容はそれぞれ記事にしていますので、ブログ内でお楽しみ下さい。
独学系建築の仕事の作り方
独学の強みの一つは、建築外の人間関係がそれぞれの個人において既にあること。
意識的に建築と自らが既に持ち合わせている環境を結びつけてみましょう。
東京造形大学の友人が塩尻市の漆職人や問屋が集る木曽平沢に学生時代から出入りしてました。
そして、かなりボロボロな空き家を活用してみたいという構想がありました。
相談された空き家の改修と運営に関ったのが、私と長野県との馴れそめ。
もともと埼玉県の田舎生まれだったので、山々や川の景色がどこか懐かしくて直ぐに気に入りました。
木曽平沢は漆職人さん達もいる小さな町。
職人の不器用で人付き合いは上手くないけれど正直な性格も、自分にはあっていました。
空き家改修や運営に関る具体的なことも記事にしています。
地方の地域活動やコミュニティデザインなどに興味がある読者さんはご参考に。
友人の高校時代の同級生は藝大で漆を専攻して、町の職人や関係者を自分のビジネスに利用することばかり考えていましたが、友人にはビジネスとしての構想は全くありませんでした。
面白そうだなと思いましたが、正直お金のことだけを優先していたら相談に乗れなかったと思います。
それでもこれから独学系で建築を始める人は、面白そうだなと思えたことには出来る限り挑戦を。
業界内の人間関係が少ない状況で仕事の機会を得ることは、建築の道を学生時代から進んできた人間よりもずっと少ないからです。
厳しいですが、紛れもない現実。
建築を正当に学んできた人達に向かわないこぼれ話が、ようやく自分のところにきたと思い一つ一つの機会を大切に。
地域活動に関る中、職人の町ということもあり工芸関係の人間と携わる機会が増えていきました。
手工芸の世界では趣味領域でも楽しんでいる人達が沢山。
建築がもっと身近にと日々考えていたので、趣味で取り組める世界はうらやましいなと思いました。
さらに手工芸世界を観察して分かったことがあります。
大学卒で手工芸を専攻した人達の食い扶持は、習い事や工芸教室の講師で成り立っていたこと。
つまり仕事としての安定性が高いのです。
建築教室は、仕事として成立させるのにも悪くない選択に結果なりました。
しかし趣味で楽しむような建築の教室なんて全国どこにもありません。
私は独学で建築と接してきたので、通常の建築家達よりも建築の常識に対する感動が強いです。
上海での修行時代、所長と同僚が常識のようにする会話に対し、
”それってそういう意味だったのか、理由があったのか”
と思える瞬間が数多くありました。
そういう数々の疑問や感動を思いだし、全く建築をしたことのない生徒さんへの指導に役立ています。
独学のハンディキャップを、逆に特徴にすることでオリジナリティある教室にしていきました。
建築学科へいかずに建築家を目指す皆さんは、多くの建築家が経験している学びとは各々異なる経緯で建築家になっています。
それを活かしていけば、自分なりの建築の仕事を作っていけるはずです。
おかげさまで2022年時点で7年を迎える建築教室です。
内容まとめ
・プロの育成を目的としない、趣味で楽しむ建築教室
・PCは多用せずに図面、模型、スケッチ、など手を動かして覚える
・画一的な授業ではなく、課題は生徒さんの自由
・課題に応じた設計・デザイン・構造・法規・材料・歴史などを学ぶ
・DIY用の設計や工具の扱い方を学べるワークショップを開催
・通年、月二回の定期開催
仕事の作り方
・独学系は少ない機会を活かすため、面白い話にはすぐに関る
・建築以外の人間関係から、仕事を考える
・独学のハンディキャップを特徴にして役立てる
建築は依頼すれば設計してくれるというイメージが世間一般。
自分の手を動かしながら、建築を趣味で楽しむ感覚が最初はつかみにくいとは思います。
建築の図面も模型もスタディも美術工芸と同様で、けっこう地道で細かい作業の連続。
しかしその過程を時間をかけながら少しづつ覚えていくことで、建築も趣味のように日常で楽しめる対象になります。
長年通われている生徒さんも沢山いて、建築が趣味にもなったなと、しみじみ思います。
生徒さんは常に受け付けてますので、興味のある読者さんはご連絡を。
東京方面での開催は会場選定が難しく、今のところ実現できていません。
より多くの人に建築と接してもらうため、実現に向け活動中ですので今後もご期待下さい。
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