E 地方・空き屋・移住【その実情と心構え】

E 地方・空き家・移住

都市圏か地方の小さな町の片方しか活動範囲が無いと、そのどちらかの常識で考えてしまい問題が見えてきません。
東京と長野県で建築活動をしていると、地方・空き家・移住というトピックとよく向き合うことになります。
自身のことや周囲から、様々な問題日々接しています
それらを知ってもらうことで、これから地方・空き家・移住に向き合う読者さんの一助になれると確信してます。

こんなことを疑問に思った読者さんはいませんか。

・東京で仕事をしている人が、どうやって小さな町でも仕事ができるの?
・地方の町で人間関係をどう構築していくの?
・空き家ってただ住む以外に、どんな活用方法があるの?
・空き家の改修ってどんなことに注意するの?
・移住に興味があるけど、気をつけるポイントは?

こうした疑問の幾つかを解消できると考え、記事にしてみました。

私は東京と長野県で活動しており、建築設計事務所を運営しています。
学校ではなく仕事で建築を学んだ独学の建築家。
長野県で空き家再生や地域デザインのこともしています。
オフィス機能は両方に用意していますが、住いは東京から長野県に移しました。
世間からみれば、移住者となるでしょう。
それら建築などに関係する情報を、ブログで記事にしています。

この記事では、以下の内容を扱っています。
詳しい内容があるときは別記事へのリンクをはっています。

・小さな地方の町での活動
・空き家の改修や運営の問題
・移住者と地元民の関係

地方、空き屋、移住などについって知りたい読者さんは、都市圏住いの方が多いと思います。
私のように何年もかけ現地で情報を得られれば、それが一番です。
しかし、そんな時間を取れる人ばかりではないでしょう。
忙しいなか何か行動を起こそうとしている人に、時間を節約して現場の実体験を情報として持ってもらえれば幸いです。
事前に知っていればもっと上手くできたこともあったかな、と私が思うときもあるから。

ここでの記事は、私の活動拠点のひとつである長野県での事例を紹介。
朝日村、木祖村、塩尻市、辰野町、松本市、周辺が私の活動エリアです。

漆の宿場町・木曽平沢

私は現在、東京都と長野県に活動の拠点があります。
長野県塩尻市の木曽平沢という小さな宿場町。
漆の職人さん、問屋さん、木工木地職人さん、などが沢山住んでいます。
沢山といっても人口は2,000程度で、高齢化一直線の町です。
この場所に携わるきっかけは別で記事にしたので、気になる読者さんはリンク先でご確認下さい。

お隣の奈良井宿でも、空き家を活用した店舗 土-とおいち- を運営しています。

C 誰でもできる建築教室 の記事でふれてますが、私自身は自分の能力が求められた結果がその町に関るきっかけでした。
地方と関ることに”きっかけ”は、正直そこまで重要ではありません。
ずっとそこに住んだり関り続けようとするモチベーションは、別のところから生まれるから。

そのモチベーションとは、

・私心や利害関係なくその自然や町や人を好きになれるか
・受け取るばかりでなく、その場所になにか貢献したいと思えるか

貢献といっても、だいそれたことを想像しなくても大丈夫。
人手の少ないお祭りを手伝う、ちょっと多めに草むしりや雪かきをする、若い人と話す機会の少ない住民たちとのお酒につきあう。
そんな些細なことで十分

都市圏に比べたら不便なことが多く、人との繋がりから生まれるチャンスの数も少ないのが小さな町の現実です。
上記2点のような気持ちがなければ、かかわり続けることができません。
その反面、きっかけはもっと軽い気持ちでOK。
大層な理由や動機を考えることに時間を使うよりも、そんな気持ちになれるかを現地の人間や町との関りを数時間でも多く持って確認して下さい。
年に1回現地を訪れるでも構わないと思います。
私も活動当初は年に数回訪れるところからでした。

自分に合うか早い段階で見定めるコツとしては、よい所とわるい所をフラットに観察して受け入れること。
損得のビジネスマインドで臨むと上手くゆきません。

身近な例ですが、ビジネスマインドだけで関った人の失敗談を紹介。
大学で漆を専攻して、木曽平沢を拠点にビジネスを起こした人です。
日々職人さんから様々な技術や道具・材料をゆずり受けていました。
職人さんから正式な金継ぎの技術も受けて、金継ぎ教室のビジネスも上手くいっています。
しかし、地域の催しや活動には参加しません。

決まり文句は、忙しい。
ビジネスであれば正解でしょう。
その利益につながりそうな時間以外は、合理的に排除するのがビジネス。
職人さんとの人間関係がこじれたとたん、その人は町にこなくなりました。
受け取れるものがなく、その場所にビジネスとしての価値がないのです。
過去の関りからプローフィールで町との関係をアピールし、実際に来る必要もなくなりました。

しかし、よく考えて下さい。
ビジネスチャンスは都市圏のほうがよっぽどあります。
わざわざ小さな町の住人を振り回してまでしても、限定的な利益しかありません。
結果、その地域や人を好きになれることはなく、関り続けることもできません。
貴重な時間をそんなことに費やさないよう、気をつけて場所選びを。

空き屋のこと

木曽平沢にあるもと空き屋でボロボロだった建築を、東京造形大学時代の同級生と二人で運営と改修を続けています。
建築の専門知識が必要な部分もだいぶ少なくなり、徐々に手離れもしています。
改修に関しての注意点などは、下記の記事で紹介。

空き家も賃貸であれば最終的な責任を免れますが、所有をふまえた永続的な運営になると簡単にいきません。
内装や見映えだけ計画し、試して上手くいかなければサヨナラとはいかないから。
安全を考慮した構造の補修、水の進入を抑えて建築の腐食を止めること、長い期間色々な人に関ってもらったり使用したりしてもらうための運営や資金計画。
映えよりも、それらを優先して解決する必要があります。

もと空き屋といっても、コンディションや運用の仕方は様々です。
今までも随分たくさんの空き屋と仕事で関りを持ってきました。

・100年近くのもと旅館を、シェアハウスとゲストハウスにする計画
・明治初期洋館を再生し運用する計画
・空き屋の運用や処分するためのサポート
・空き屋を広域地域のアンテナショップとするための改修や運営
・誰でもできる建築教室で、もと空き屋を改修しようとしている人への設計指導

空き家と一言でいっても、住む以外に様々な運用方法があることが分かったと思います。

もと空き屋が通常の改修と異なるのは、資金やポテンシャルがほとんど無いケースが多いこと。
もちろん立派な古民家など、ポテンシャル十分な物件もあります。
しかしそれらはメディアで紹介される一部であって、大半がその逆。
そもそも何かできる資金があれば、放置されてコンディションの悪い空き屋になりません。
私が活動している周辺都市で松本市などはまだ再生に関心を示す人も多いですが、大抵の地方の町でそうした場所はごく僅か。

関りかたとしては、長い時間のなかで育るものだと認識して取り組んでください。
直ぐに結果や成果につながるような、ポテンシャルのある地域や空き家は少数です。

移住の実情

もともと東京暮らしをしていた私は、いま長野県東筑摩郡朝日村という場所に住んでます。
生まれは埼玉県の小さな町です。
地方や田舎にいても、それほど違和感を覚えません。

日々移住者の方々と接する機会も多いのですが、どうもしっくりなじめていない場面にもよく出会います。
共通しているのは、自然環境が好きで移住したけど人間関係が好きではない、です。

誤解を招きそうなフレーズなので少し説明。
田舎の人は、よい意味でも悪い意味でも世話焼きです。

地元の人との顔つなぎ、地元ならではの情報提供、食材や食事の差し入れ、子供の面倒、自身が取り組む地域活動の協力、などなど多くの場面で助けてくれます。
移住者はこれらのことを都市部では得がたい親切として受け止めています。

狭い地域なのでその人の行動が直ぐに広まること、近所の人がよく家にくること、独身の場合は結婚話などよく持ってくること、年配の意見が強いこと、などは嫌なようです。

読者の皆さんに是非知ってもらいたいこと。
地元民はこれらの行動を使い分けていないということ。
素 なのです。

問題は、反対に移住者が使い分けていることで軋轢が生まれることです。
移住を考えている読者さんは、一旦冷静に逆の立場で考えてみてください。

移住者をAさん、地元民をBさん、としましょう。
Aさんが自分のしたいことだけBさんの時間を使わせて、都合の悪い出来事は後回しにされたらBさんどう思うでしょう。
実際そうした移住者を見る機会が多いのです。
気持ちを読まれなければ大丈夫と思わないように。
鋭い観察目を持った人はどこにでもいます。

客観的にみると、Aさんは人間関係を自分の都合や利害関係のみで捉えている人々だと思います。
自分の都合よい部分だけ受け付けようとしても、上手くいかないのは当然。
相手がそれを使い分けていないなら、なおさらです。
もっと上手くいかないのは、その原因を相手の責任だけにすること。
自分と境遇の近い仲間内で、自分のほうが正しいような情報操作で一方的に地元民の責任にする。
よく移住者仲間だけでコミュニティができてしまうのは、このあたりも原因だと推測しています。
そうすると地元民も同様に動きます。
関係構築とは程遠い結果で、もう信用は取り戻せません。

その地域の都合よいところだけを吸い取る、ただのテイカーにならないよう心がけて下さい。
田舎の人間はそのあたりにとても敏感です。
これから地方移住を考えている読者さんは、良いところ悪いところをセットで受け入れる・受け入れないの態度で臨むと上手くいきます。

自分にとっての親切を受け入れず迷惑も受け入れない、ただただ豊かな自然を楽しむ。
それでも良いと思います。
周囲の助けを借りずに、圧倒的な実力でわが道を進むのも良いです。
でも都合のよいところだけを吸い取ろうとしても、長い目で見れば上手くいきません。

大切なのは、長期スパン

地方、空き屋、移住に関する実情や問題点を体験から紹介しました。
どのドピックでも共通する心構えがあります。
長期スパンで考えること。
記事内で理解できたと思いますが、直ぐに結果がでてくる事柄ではありません。
地方に関ること、ポテンシャルのない空き家を利用すること、移住して住民と関係を構築していくこと、全て長い時間の中で育てるものです。
短期的な結果や利益で臨むと、心が折れたり、住民を利用しただけの結果になりかねません。
自分も相手も楽しめるものを育てましょう。

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