C-1 建築教室とワークショップ【参加するとき・開催するときの心得】

C 誰でもできる建築教室とDIY

モノ作りやDIYのワークショップ、増えていますね。
SNSのおかげで、ワークショップに参加することも主催することも手軽になりました。
手軽になったとはいえ、ワークショップ未経験者には不明なこともおおいでしょう。
結論から言えば、興味あるワークショップへは気軽にどんどん参加しても大丈夫。
主宰するときは、チーム編成・学び・楽しさが重要になります。

・参加したいけど、どんなことをするのか?
・主催してみたいけど、どんなことに注意すればいいの?

参加・主催どちらにしても、モノ作りやDIYのワークショップに戸惑う読者さんもいるのではないでしょうか。
SNS等で簡単な活動紹介は沢山探せますが、記事として内容を調べられる情報は多くありません。
少しでも情報を知ることで、ワークショップに対する心のハードルを下げてみましょう。

私は東京と長野県で活動しており、建築設計事務所を運営しています。
学校ではなく仕事で建築を学んだ独学の建築家。
長野県で空き家再生や地域デザインのこともしています。
オフィス機能は両方に用意していますが、住いは長野県。
活動圏内である、塩尻市と松本市で”誰でもできる建築教室”を月2回定期開催しています。
そうした関係で、モノ作りやDIYのワークショップに関る機会がけっこうあります。
それら建築などに関係する情報を、ブログで記事にしています。

この記事では、長野県塩尻市と松本市で開催している、誰でもできる建築教室でのワークショップを1つ紹介。
練り付け合板を使ったキャビネット製作のワークショップです。
また築100年近くの古民家をシェアハウスにする際に主宰側で関った、DIYワークショップのことも記事にしました。

練り付け合板とキャビネットを作る方法や、無垢材と比較したときのメリット・デメリットを知ることができます。
改修などのDIYは人手が必要なケースが多いです。
DIYのワークショップを主催したい人は、記事の内容を参考にしてもらえれば幸いです。

参加することも主催することも、大きな金額がかかることばかりではありません。
どちらにしても先ずは知って行動することです。
楽しいことは多いですよ。

練り付け合板・練り付けフラッシュ合板

練り付け合板、練り付けフラッシュ合板とはどういった材なのかをざっくり説明します。
大根のかつらむきを想像してください。
うすーい大根の帯をつくるように、それを丸太材でつくるのです。
その木目の残った薄いシートを貼り付けることを、練りつけるといいます。
なので合板に貼り付ければ練り付け合板。
かつらむきなので、木目が少し不自然になります。
板材を薄くスライスして作った練り付け材は、木目を自然なまま再現できます。

練り付け合板メリット
無垢材のような木目を残しながら大きな材を作りやすいことや、同じ大きさの無垢材に比べてはるかに安価なこと。

練り付け合板デメリット
無垢材部分の厚みが全く無いので、傷が付いたときなどに磨いで補修ができないことや、合板なので小口(切断面)は処理に気を使うことなど。

ちなみにフラッシュ合板というのは、棒材で枠を組みその上に合板を貼り付けたものです。
フラッシュ合板のメリット
大きな無垢板材特有の狂いや反りが少ないことや、軽くて材も節約できること。
皆さんの住宅にある部屋の扉などは、殆どこのフラッシュ合板だと思います。
フラッシュ合板のデメリット
枠と枠の間はスカスカなので、軽い反面もろいです。
また重厚さで高級感を演出したいときには不向き

誰でもできる建築教室では決められた会場で設計やデザインをしてもらっています。
時々、製作や現場のことも知ってもらいたいので課外授業としてワークショップなども開催。
ここで紹介するワークショップは、家具製作をおこなう木工所を会場におこないました。

練り付け合板の製作

教室では素人でも加工がしやすので木材の扱いを中心に教えるのですが、皆が直ぐに思いつく木材って無垢材なんだなぁ、と日々思います。
例えば、杉、ヒノキ、松、、、の板材や棒材のようなものです。
私も無垢材は大好き。
それぞれの香り、木目、色、それを選択する楽しみがたまりません。
ただ素人が無垢材を扱うときの注意があります。
道具が無いため、ねじれや狂いを整えるための製材加工がDIYでは簡単にできません。
道具に関することは別途記事にしました。

大きな一枚板で机や扉や家具などを作ろうとするのですが、幅が広くて長さのある無垢材は探すのも一苦労で値段も高くなりがち。
フローリング材のような幅が狭くて薄い材なら、無垢材で取り揃えるのも難しくないのですが。
それで練り付け合板や練り付けフラッシュ合板なども木質系仕上げとして伝えるのですが、生徒さんはイメージが沸かないようです。
そこで練り付け合板の作成方法を家具工房で学んでもらい、家具を製作してもらいました。

通常はボンドとプレス機を使用して練り付け合板を造るのですが、今回は自作もできるようにゴムノリで作成してもらいました。
ゴムノリの放置時間を説明書のとおりしっかり取れば、手ローラーでプレスするだけでも十分接着できます。
そのときの注意点としては、芯になる合板と練り付け板両方にゴムノリをつけること。
フラッシュ合板のときは接着面が少ないので、ボンド+重しをのせることやクランプで締め固めるほうがよいです。

頭を悩ませるのが小口の処理。
練りつけ合板は無垢材と違い切断面は合板のままなので、そこの処理は要検討。
代表的な処理としては、以下のような方法があります。

・小口を接続位置や裏側など見えない位置にもってくる。
・小口テープといわれる既製品を小口にはる。
・小口に別途無垢の板材を貼る。

ネットで買える既製品もあるので、素人でも処理は十分可能です。

キャビネットの組み立て

練りつけ(フラッシュ)合板自体はただの材料。
なので部材寸法にして製作する必要があります。
接合の方法も様々ですが、今回はビスケット接合としました。
ビスケットと呼ばれる楕円系の薄い板を雄型とし、部材同士の接合面に雌型の溝を彫りビスケットと噛み合せながらボンドと共に接合します
溝を彫るには、ジョイントカッターと呼ばれる電動工具を使用。
材同士がもっと大きくなると、ドミノといわれる角型の雄型を使用します。

読者の皆さんになじみがあるのはダボ接合だと思います。
ダボと呼ばれる棒状のものを雄型とし、接合面は雌型として丸い孔をあけておきます。
位置の決定と垂直に孔をあけるのに神経を使いますが、この方法であれば専用の治具インパクトドライバーで加工できます。
ジョイントカッターを使用したビスケット接合のほうが、位置のずれをある程度許容してくれるので、素人にはこちらの方法をお薦めします。
工具などは専用ページを設けましたので、そちらでご確認下さい。

ビスケットと接合面にボンドを塗り、圧着して接合します。
圧着はプレス機を通常用いるのですが、この器材を持っている人は趣味程度のDIYではいないでしょう。
そこでこのワークショップでは結束バンドを使用して、ボンドがある程度固化するまで固定しました。
角には必ず角あてをして、その上から結束バンドできつく締めてください。

兆番の調整方法も学なんでもらいました。
どんなに正確に製作しても、部材や兆番の取り付け位置に水平・垂直のゆがみは少しはでます。
使用している間に、歪んでくるときもあります。
なので兆番自体に水平・垂直の位置をネジで調節できる機能が付いている商品があります。
生徒さんたちにも自分の製作したキャビネトで扉兆番を調整してもらいました。
ネジ調整だけなので作業自体は簡単です。

改修ワークショップを主催する

ワークショップの中でも、特に改修系のワークショップは人数や期間の規模が大きくなりがち。
一人でおこなうのは難しく、チームを組んだり仲間と一緒に開催することになります。
紹介する内容は、築100年ほどの古民家をシェアハウスとゲストハウスにするため、人を集めて改修を進めプロジェクト。
建築設計には私がチームメンバーとして参加しました。

簡単にチーム編成を説明します。

1:お施主さん(古民家を預かるワークショップの主催者)
改修ワークショップのときはお施主さんもがっちりチームに加わってください。
お施主さんはゲストハウス運営の経験もあり交友関係も豊かでした。
SNSで沢山の人に告知をして、施主さん自身も人集めのに尽力。
2:工事担当
できればオールマイティになんでもできる大工系をお薦め。
最初の段階からワークショップに加わってもらえると、意思疎通も取りやすい。
無理であれば、工事種別の要所で参加してもらいましょう。
壁のとき、床のとき、トイレのとき、など。
ポイントはこうしたワークショップが好きな、若しくは参加した経験のある人を選ぶこと。
理由はその友人達もワークショップでの改修が好きな人達が多く、プロなのに工事の手伝いに来てくれるから。
3:ワークショップの取りまとめ・設計・デザイン
たいていは建築家か建築やインテリア関係の仕事をしている人が担います。
お施主さんがワークショップに馴れていない時は、全ての取りまとめが必要。
お施主さんに取りまとめる能力があれば、建築設計やデザインの取りまとめに限定しても構いません。

ワークショップに参加してもらうためのコツ

私は普段から構想段階で参加してもらう方法を提案しています。
今回も設計やデザイン段階から人を集めて決めていこうと提案しました。
改修は長い時間がかかり、何度も人が集まってくれる必要があります。
工事段階だけで人を集めても駄目。
参加者はただの作業員のように感じてしまうからです。

初めは参加してくれますが、何か学びや楽しみが無いと続かないものです。

実測から図面作成、模型をつくってデザインを検討する工事前までもワークショップ化しました。
実測の時は木造の基本を教えたり、誤差のでにくい実測のコツなどを学んでもらえるようしました。
模型検討もみんなで集ってつくるスタイル。
模型制作のちょっとしたコツを教えたり、所々参加者のデザインが反映されるように案をまとめるようにしました。
自分の意思が反映されたりすると、その後の工事ワークショップにも参加してくれる可能性が高くなるからです。

工事に関しても同様で、そこに学びや技術習得や楽しみがないと続けては参加してくれません。
その改修ワークショップでは左官も学べたりしたので、建築教室の生徒さんも自主的に参加して技術を学んでいました。
下塗りのユートップは済んでいたので、仕上げの漆喰塗りを体験。
後半ではだいぶコテの扱いも慣れてきて、生徒さんも随分と上手く漆喰を塗れるようになっていました。

学びの意味合いを強くしたときは、 学識者をチームに加えるとよいです。
例えばですが、古民家の構造研究をしている、断熱の歴史や工法を熟知している、などの人達を交えると専門性がぐっと上がります。
歴史や技術、それをする意味合などを豊富な知識や資料で説明してくれます。
参加者の中には頭の運動を好む人々も沢山いますので、人集めの幅はずっと広くなりますよ。

大切なのは楽しさ

チーム編成や学びも大事ですが、なにより大切なのは集った人たちを楽しい気持ちにさせること。
改修でワークショップ形式を選択するなら、楽しさと学びは必須。
楽しさに関してお施主さんはそのあたり大変心得ておりました。
参加者同士が仲良くなったり繋がったりできるような工夫を沢山用意。
食事の場を用意して、参加者同士の交流を促していました。
たまにお泊り企画も用意して、お酒をいれながら雑談し関係を深めることも。
改修ワークショップに参加している人だからといって、それに関係することばかり話題にしてはいけませんよ。
相手の興味を読み取って、ワークショップ以外の時間を楽しんでもらえる話題を提供するのです。

ワークショップ形式の改修は、誰か一人に改修を依頼するよりもマネジメントの多さを考えるとずっと大変です。
メリットとして工事費を安く抑えられる側面もありますが、単純に安く抑えられるからと思って始めると、参加者側にも見透かされます。
集ってくれる人達に対して敬意を持ち、楽しみや学びの機会を提供するのが上手く持続させるコツ。

気軽に行動、あるいは作れ

ワークショップを開催する立場からすれば、楽しみを用意しないと参加者が続いてくれないことを知っています。
逆に考えれば、もの作りや改修系のワークショップは楽しめるように考えられているケースが多いのです。
ですから気軽に参加してみましょう。

改修系のワークショップを主催したい読者さんは、チーム編成を先ずは考えましょう。
一人で開催するには手間も時間もかかりすぎます。
そして参加者に楽しんでもらえる内容を一番に考え、学びの機会を提供することも忘れずに。
大勢に継続して参加してもらえる条件です。

参加・主催どちらにしても、先ずは行動。

それでも”皆で集って何かをするのはちょっと、、、”という読者さんは、道具類や材料を少しづつ揃えて実際に何か作ってみましょう。
簡単なことでも出来ることが増えれば、もの作り・改修系ワークショップの参加や開催の心理的ハードルが少しは下がりますよ。

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