今回は物件改修に関しての内容です。
その第一歩である見積。
不動産投資の目線だけでなく、建築設計を仕事にしている建築家目線での方法をお伝えします。
物件購入までは、別の記事で説明しました。
初めて賃貸不動産をする人には、改修に対する知識はほとんど無いでしょう。
費用を抑えたり、自分なりのデザインにするためには知識や技術が必要。
知らないことをリフォーム業者に丸投げするのは抵抗がありませんか。
それらの不安を取り除くため、見積もり書を読む勘所、材料や施工単価、などをお伝えします。
私は東京と長野県で活動しており、建築設計事務所を運営しています。
学校ではなく仕事で建築を学んだ独学の建築家。
長野県塩尻市と松本市で”誰でもできる建築教室”という一般者向けの教室を主宰。
木曽平沢という小さな町と隣町の奈良井で、空き屋の改修・運営や町づくりに関るような仕事もしています。
それら建築などに関係する情報を、ブログで記事にしています。
記事の大まかな内容は以下になります。
・見積もり
・単価
・材料
安く改修する方法やDIY等は不動産投資系のブログでも広く紹介されています。
DIYの方法もYouTubeで十分学べます。
このブログの特徴は、建築設計とデザインを実務にしている建築家目線で物件を扱っているところです。
”投資”的には不合理な振る舞いをしている内容もありますが、結果として周辺地域でオンリーワンの物件になりました。
その結果がよかったので、読者の皆さんが応用しても損はありません。
いくつかのポイントを押えれば、低予算でもオンリーワンにできる改修が可能です。
先ずは相見積もりの重要性と見積書を見るポイントを知りましょう。
ここでの記事は、私の活動拠点のひとつである長野県での事例を紹介。
朝日村、木祖村、塩尻市、辰野町、松本市、周辺が私の活動エリアです。
物件の場所は長野県にある辰野町。
辰野町は塩尻市からも近く、売買戸建を調べているなかで見つけた物件です。
相見積もり
とにかく最初は相見積もりから。
これは建築設計の実務でも同様です。
・現地での価格相場を知る
・予算配分を決める
・業者を選定する
これらを決めるのに必須。
色々なリフォーム見積もり一括サイトがあるので、初心者は片っ端から見積もり書を取り寄せましょう。
いきなり業者や改修内容を決めないように。
目的はリサーチと比較です。
ひとつアドバイスすると、ホームセンター系の業者は見積もりを取らずにOK。
今回はちょっとした実験で、ホームセンター系の業者さんにも相見積もりをとりました。
職業柄、業界構造を知っていたので試しました。
ホームセンター系リフォームは近隣の業者さんをいくつも抱えてます。
依頼がはいると、その一業者に見積もりや施工を任せます。
その業者自体も独自に営業しています。
業者さんはホームセンターからの安定した仕事をもらえます。
ホームセンターもそこから利益を得るので、引き換えに業者さんの利益は減ります。
もしくはホームセンターのマージン分が発注者(読者の皆さんです)に加算。
要するに利益を得る業者が二重に存在する構造。
ホームセンターから派遣されて見積もりに来た業者さんに、直接やり取りできるか聞いてみました。
回答としてはOK。
業者さんも自社の利益が増えて発注者の負担が減れば、受注の可能性があがるので当然の結果。
ホームセンターから見積もりが届きました。
しかし、検討業者にはできない見積もり。
そこで直接見積もりに来てくれた業者に連絡を入れ、独自の見積もりでお願いしました。
見積もり時と異なり、回答はNO。
実測にきた担当者はOKだったのですが、社長がNOを出したからです。
工事中にホームセンターのリフォーム部門の誰かがそれを見つけたら、会社としてかなりの不利益をこうむるので相談にのれない、とのことです。
単価と材料
予定している工事の相見積もりをとったら、次の項目を確認しましょう。
・工事内容や材料
材料費のみなのか、工事を含めた材工費なのかチェック。
一式となっていたら、内訳を問い合わせましょう。
回答しない業者は検討から省く。
・数量
m、㎡、立米(㎥)、坪など単位はそれぞれ。
数社で同じ項目を比較するときは、変換して同じ単位に。
比較してべらぼうに多い数量になっている業者は検討から省く。
・単価
材料のグレードに記載が無いときは確認しましょう。
同じ内容で比較しないと意味がありません。
もしくは性能を比較して、金額の差を許容できるか考えましょう。
参考までに今回の改修工事で決定した見積もりの内容を紹介。
1:外部塗装
条件によって金額が左右されます。
条件概要は下記。
・足場は4周容易に建てられる敷地
※隣地との離れが極端に狭い場合など、足場費用などが割高になります。
・外壁:金属サイディング(亜鉛メッキ鋼板)
・屋根:金属折板(亜鉛メッキ鋼板陸屋根)
※金属折板はジグザクしているので、塗装面積が増えます。
面積概算では平面積の1.5倍程度です。
・場所:長野県上伊那郡辰野町
※地域によって相場が少し変わります。人工や移動費が異なるから。
・塗装種はシリコン(下塗り1回、中上塗り各1回)
壁:パーフェクトトップ 屋根:シリコンルーフ 下塗りはファインデクロ
塗装は単価に大きな違いが出ました。
相見積もりによる単価のレンジも記載しておきます。(単位:円)
材工単価。
㎡とmがあるので、気をつけてください。
・足場・養生 700-900/㎡
・高圧洗浄 150-250/㎡
・破風板 800-1200/m
・雨樋 700-900/m
・壁塗装 2,200-3,800㎡
・屋根塗装 1,600-2,400/㎡
こちらで図面を渡しても必ず実測していくので、30分~1時間程度は現地での時間が必要。
外壁と屋根塗装には4周足場が必要ないケースもあります。
下屋があったりすると梯子で済ます業者さんもいます。
もちろん総足場のほうが作業しやすいので業者さんからの提案は少ないですが、こちらから相談して損はありません。
足場の費用をだいぶ抑えられます。
2:壁紙(壁・天井共)
下地は一部補修でそのまま。
既存クロスはがしと、新規クロス貼りの単価。
サンゲツの一般グレード品。
1,000/㎡
3:間仕切り壁下地(木+石膏ボード)+壁クロス
3,400/㎡
扉はピンきりですが、安い片開き扉なら20,000円以下で探せます。
私が主宰している建築教室の生徒さんは、間仕切り壁の新設と既製品の引違い戸の取り付けを自主施工で完遂。
セルフビルドも十分可能です。
4:グリストラップ清掃
一般廃棄物扱い 8,000/一式
産業廃棄物扱い 18,000/一式
店舗で利用していたので、グリストラップがありました。
グリストラップとは、油を分離して排水する槽です。
店舗兼住宅希望の入居者さんもいるかもしれないので、清掃して残すことに。
購入時点で店舗利用していなければ、一般廃棄物として処分できる業者を探してください。
産廃業者では一般用として対応してくれません。
5:廃材処分費(金属・ガラ・プラ・木材一式)
12,000/㎥(立米)
※石膏ボードやアスベスト含有建材があると、倍以上の単価になりますのでお気をつけ下さい。
材料(工費は含みません)
6:フローリング床材(栗材t=15)送料込み
10,000/坪(3.3㎡)
フローリング工事も比較的簡単にできます。
youtubeなどで勉強し自主施工してもよいと思います。
床の傾きが大きい時はレベルだしの手間が掛るのでご注意ください。
改修前にすること
とにもかくにも相見積もりです。
私のような建築のプロでも同じ過程をふみます。
初心者は相場感や見積もり書の見方が未熟ですから、とにかく多くの見積書を取り寄せます。
見積もりを集めただけでは駄目。
リサーチ・比較・質問を必ずしましょう。
数が必要になります。
一括サイト等を利用して、多くの資料の比較検討を先ずは始めましょう。
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