A-1 独学系建築士になるには【そもそも資格は必要なのか】

A 独学で建築家になってみる

学業で建築を修めていない人間は、建築士の資格をとれるのか。
とれますのでご安心下さい。
建築士の資格が無いと建築の仕事は出来ないのか。
それに関しては、”必ずしも必要ではない” が答えになります。

今まで建築を勉強していない人が、どうやって合格するの?
ごく当然な疑問だと思います。
ですが、実務経験という過程を経て私のように独学で建築士の資格を得ることが可能です。

資格がなくて建築の仕事をすることも、なかなか想像がしにくいでしょう。
それでもノーライセンスで仕事をしている人達もいますので、その実例を知って下さい。

私は上海にある建築士事務所で建築の勉強をはじめ、帰国後に独学で建築士の資格を得ました。
その後、管理建築士の資格も得て現在は自らの事務所を運営しています。
この記事では、そもそも建築士の資格がなんであるのか、独学で建築士の免許をとるまでの実体験、建築業界で聞いた建築士試験に関るこぼれ話、を内容としています。
試験合格のHow To記事ではないので、試験直前に読む内容ではありません(笑)

建築を学業で修めている人たちにとって、建築士事情はいくらでも知ることができます。
しかし実務から建築をはじめた人には知らないことだらけです。
これから独力で建築士の免許を取ろうとしている人は、私の実体験から建築士資格の必要性や学び方などを知ることができるでしょう。

無学でも建築士の資格はとれます。
さらに言えば、建築士の資格がなくとも建築家として建築の仕事をすることは可能です。
それらを順をおってご説明します。

そもそも建築士って?

建築士法という法律があり、この中で建築士の独占業務が定められています。
つまり建築士の有資格者しかできない仕事、それは設計と設計監理。
ざっくり言えば、建築物を実現するための設計図書などを作成したり、その建築物が設計図書の通りに工事されているか監理することです。
またこれらは管理建築士を置いた建築設計事務所でしか執り行えません。

皆さんが建築設計事務所に勤める時には、建築士の資格は必要ではありません。
建築設計事務所は監理”建築士”の所属がなければ開業できないので、事務所には皆さん以外の有資格者が必ずいて独占業務の責任を持つからです。
逆に言えば皆さんが建築設計事務所を開設するには、管理建築士の資格や存在が必要になります。

ちなみに、ライセンスがなくても建築の仕事をしている人はたくさんいます。
設計コンサルやデザイン料として建築を業とすることもできます。
建築設計事務所と組んで、建築のコンセプト・デザインを統括する立場で仕事する人もいます。
海外のプロジェクトなどでは、現地のライセンスを持っていないことがほとんどです。
仮に資格不問の海外コンペなどに入選したとします。
その時は現地の有資格事務所が協力事務所として参加し、建築を実現していきます。

建築の独占業務をする建築家には建築士の資格が必要になりますが、建築の仕事をする建築家に資格は絶対条件ではありません。

二級建築士は学問で建築科目を修めていなくても、実務年数からの受験が可能になります。
最終学歴にもよりますが、美大卒の私は実務経験2年が必要でした。
最長だと7年必要になります。
今まで建築をしていない人が建築設計事務所に入ること自体大変なので、私自身の体験談を別途記事にまとめてみました。

仮に二級建築士試験に合格したとします。
それで直ぐに開業はできません。
勤めることは免許がなくてもできるのですが、建築設計事務所として開業するには事務所に管理建築士を置かなければなりません。
自らが管理建築士になるには、建築士としての実務が3年必要です
管理建築士に一級と二級の別はなし。
二級建築士時代に監理建築の資格を得て一級建築士の試験に合格すれば、一級建築士事務所として開業できます。
独立まで考えている独学系建築家は、二級建築士事務所開設まで5~10年

二級建築士であれば現在は一級建築士の受験資格が得られます。
ただし、受験資格があるだけで免許登録資格は4年間の実務経験が必要
つまり受験はさせてあげるけど、一級建築士の免許は4年間の実務経験がないと登録させないよってことです。
受験資格と免許登録資格が異なるので、ここを混同しないように注意してください。
これでようやく一級建築士事務所が開設できます。
期間としては6年~11年

自らが管理建築にならずとも、管理建築士を雇えば建築設計事務所は開業できます。
資金力のある方はこの方法もありです。

建築士試験にも予備校はある

一級建築士、二級建築士共に学科試験と製図試験の両方に合格する必要があります。

本記事で説明する方法の前提条件は、私のように学生時代全く建築系の科目を修めず働きながら独力で試験をうけるケースです。

世の受験と名のつくところに予備校あり。
建築士試験も同様です。
大手から個人指導まで、たくさんの予備校があります。
学科から製図まで一括して予備校に通うと、コースに応じて50万から100万ほどの金額になります。
私は予備校組ではないので、予備校希望の読者さんは予備校比較サイトなどをご参考に。
規模のあるところだと、総合資格学院、日建学院、TAC、全日本建築士会。
そして小さな個人指導まで含めれば無数にあります。
ウラ指導、建築士.com、びりけつhero’s学園などなど。

私の勉強方法 【建築士学科】

過去問のみをずっと読む。
働きながら実務を通して建築を学んでいると、その他の勉強時間を確保できません。
試験勉強よりも、仕事で必要な知識や技術を優先することになるから。
なので、二級のときは各学科解説付きの過去問題集を1セットだけ買いました。
何を買うか迷ったら、一番売れていたり人気のあるもので。
構造や法規など、解き方を覚える必要があるものは一度だけゆっくりと仕組みを理解しましょう。
そうしたら、問題と回答が頭に刷り込まれるまでずっと過去問を読むだけ。

これは移動中でも仕事終わりの晩酌中でも休日ゴロゴロしているときでも、場所時間とわずできるので、ストレスなく勉強を続けられます。

一級建築士のときは合格ロケットというサイトから20年分の過去問セットを購入し、同様の方法で受かりました。
二級建築士のときに理解の必要な部分はおさえているので、一級はひたすら過去問題集を読むだけで済みました。
20年分を5回以上は読んだ記憶があります。
あと市販で毎年刷新される7年分の過去問を繰り返し読んでいました。
友人のアドバイスで、構造計算問題の過去問は必ず解けるようにしました。
毎年それほど問題が変わらないので過去問が解ければ本番も必ず解ける、が友人が教えてくれた理由。

私の勉強方法 【建築士製図】

実務から建築を始めた人はCAD製図がスタンダードなので、製図試験は大変です。
なぜなら、試験では手描きで清書図面を描くからです。
学校では手描き製図の授業もありますが、実務において手描きで清書図面は現在ありえません。

まずは製図の教材と道具をそろえましょう。
色々とそろえてみましたが、最終的に使用したものは記事の終わりに別ページのリンクをまとめてます。
教材は製図試験に特化したhowto本を2冊程度読みました。
大抵同じような内容なので、1冊でも構わないと思います。
エスキースのコツを解説した本をさらに1冊。
普段実務をしてるなら必要ないでしょうと思う読者さんがいるかもしれません。
しかし私は独学なら必要だと思っています。
何故なら、試験時間の制約が厳しいからです。
案だしもエスキスも図面化も効率化を日々考えていますが、全てを数時間でまとめることなど実務ではありえません。
なので、試験に特化した時間の使い方を本などで学んだほうがよいと思います。

私は作図スピードとエスキスを分けて、1つずつ攻略していきました。
先ずは作図が時間内(2時間半~3時間)で終るようになるまで、ひたすら過去問を製図。
それが出来たらエスキスが時間内(2時間半~3時間)で終るように集中勉強しました
理由は働きながらだと試験時間の6時間半をまとめて確保などできないから。
作図スピードなら平面図1つだけ、エスキスならボリューム出しだけ、のように時間を細切れできる勉強法がよいです。

また自分なりの細切れを作っておくと、実際の試験でもそれが作図手順として習慣化されてるので当日迷わず製図できます。

あと製図で私が利用したのがyoutube。
全体的に本で学んだら、細切れの内容はyoutubeで検索して勉強しました。
製図の試験直前模擬と市販の教本に付属している模擬試験は、日建学院のお世話に。
奇をてらった内容ではくて、良いなと感じました。

エスキスと作図が時間内に出来るようになったら、出来る限り6.5時間通しの自分模試をこなします。
ここが一番難しいです。
仕事をしながら、また日々仕事から建築を学んでいる皆さんはまとまった時間を取れないから。
仕事のスケジュール管理でほぼ丸一日取れるようにするか、夜から深夜の時間を使うことになります。

今からでも建築家、建築士になれる

学校で建築科目を修めてなくとも、実務経験から建築士の受験資格はえられます。
また建築士の資格がなくとも建築の仕事はできます。
仕事から建築をはじめ、独学で建築士試験を受けるには時間の使い方が肝。
学科はダラダラしながらでも過去問を読んで、頭に刷り込み。
製図は手順を細切れにして、一度の勉強時間も短くする。

試験の骨休み

試験疲れの骨休みに雑談を。
年配の方に試験のお話を聞いたことがあります。
一級の製図試験です。
その頃は立面図の作図があったそうです。
デザイン力もみていたのでしょう。
現在は平面図×3、断面図×1を縮尺1:200で描きます。
図面だけで判断すると、プランニング力や計画に重点がおかれています。
さてその先輩建築家のお話を聞き、どこに一番力を入れましたかと質問しました。
すると、こんな回答でした。
立面図の影をね、とにかく格好よくしたくてがんばって描いていたよ、とのことです。
いい時代ですね。

また別の先輩建築家のお話。
「俺のころは学校通って試験受ける奴なんかほとんどいなかったよ。学校行きたいなんて言ったら先輩にどやされて所内で干された」とのこと。
試験なんて仕事の合間にやれよ、が常識だったみたですね。
その先輩建築家の修行時代の事務所は、大御所建築家の事務所でかなりの激務。
合間なんてあったのかどうかも疑問でしたが。
同年代の友人の話を聞くと現在は協力的な会社が多いみたい。

独学系建築士は時間が命、今すぐ開始

予備校に通ったり、在学中に受験をする人意外は直ぐにでも教材をそろえて勉強をはじめましょう

仕事をしながら時間を作るのは本当に、本当に!大変です。

課題の発表や最新の教材発売を待つ必要はありません。
大昔の試験問題ではない限り、そう変わった問題が出るわけではないので。

私が独学したときに利用したものは別ページでまとめました。
学科教材
製図教材
製図道具
予備校もどんどん新しいもが増えてます。
最近ではオンライン授業を主体とした学校もあります。
時間が取れない人は、こうした学校を利用してみるのもよいと思います。

ちなみに一級建築士試験の合格発表が12月25日前後になることから、受かった人はクリスマスプレゼントと呼ぶそうです。

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